あの時代 蘇州河 この橋の向こうは日本人租界・・・ みなさんお久しぶりです。今回は私のホームグランド・虹口から遠き激動の場所に思いを馳せて
列強諸国 混沌とした時代 共同租界・虹口区（ホンキュウ）は日本人街と呼ばれ多くの日本人が住んでいました。そこには魯迅を中心に数々の文化人も集まり、弾圧を恐れる左翼作家が秘密裏に活動をしていました。（写真は魯迅博物館）
此処で築かれた魯迅と内山完造の終生の友好 日本の文化人と中国の作家の交流、所謂ゾルゲ事件 尾崎秀実の諜報活動 秘めた壮絶たるドラマに胸の高鳴りを覚える
魯迅を偲びながら・・その時代へ手に汗握る暗躍歴史が満ち溢れています。現・魯迅公園は虹口公園（新公園）と呼ばれ在留邦人には馴染み深い場所です。のちに軍部を揺るがす白川事件が起きました。
日本人街を北に走り突き当り四川路底・・日本人が住む租界地域と中国側の華界が入り込んだ紛れ込むには最適だった。地の利を巧みの利用した革命家のアジトが点在 
この一角に1937年 第二次上海事変の弾丸飛び交う市街戦のさなか 移り住んだ・・今回は 実在した工農紅軍の工作員・李白の足跡を辿ってみます。
実話に基づいた1950年代の革命映画「永不消逝的電波」の主人公である。近年上海歌舞団による舞踊劇『永不消逝的電波（永遠に消えない電波）』が空前の大ヒット・・大観衆が あの時代に引き込まれました。
無線基地を造り情報を集め革命本部の延安へと伝達する任務をうけた李白、白色テロの恐怖の下で秘密裏にラジオ局を開設したのは住居も兼ねていた亜細亜弄 当時の新里弄（テラスハウス）式の高級住宅だった。
李白烈士故居 虹口区黄渡路107弄15号 資料館となって無料で開放されている。
たまたま居合わせたボランティアの学生が 功績を説明してくれました。
李白は市井の市民を演じ、同じ志を持つ裘慧英と夫婦を装い一般向けのラジオ局と偽って任務を遂行していた。裘は浙江省の貧しい農村出身、十二歳のとき上海へきて日商の在華紡で女工をしていた。後に労働運動に参加、中共地下組織の青年団に入党 そして李白と共に延安秘密諜報に就きました。革命同志だった若いふたりに愛が芽生え1940年正式に結婚、その後も情報収集の任務にあたりました。
1942年日本軍にスパイの疑いで逮捕され日本憲兵隊本部に連行・・その抗日分子弾圧の牙城として恐れられたL字型七階建てのビルは現存している。のち夫婦は別々な場所に移され、幾度ともなく尋問が続いたが一貫して私的なラジオ局であることを主張し 翌年に彼らは釈放された。だが身の危険を察知し浙江に移り地下工作を続けた。
日中戦争終結後 李白は上海に戻り地下基地から情報を発信する任務を再び遂行、1946年国共内戦 1948年年末に国民党特殊部隊に逮捕された。激しい拷問を受けたが一切口を割ることはなかった。1949年５月に秘密裏に殺害される。内戦の上海 解放が間近に迫るなか・・39歳の若き革命戦士は勝利を見ずして散って逝った・・
残された妻は 上海通信部の副書記などを努め一人で息子を育てました。2009年に李白は新中国設立に貢献した模範人物として100人の英雄に選ばれました。
虹口で起きた数々の出来事、時は流れ穏やかな時間が流れる
聴こえないはずの電波は いまは電話一本 すぐに直しに来てくれる。
街を歩くと当時の歴史 建物が見える 道路には宅配バイクが走り安全のため電子警察が監視している
命がけで文学を守り続けた作家たちが住んでいた小路に あのときのように大切に本が並べられていた
虹口でうまれた民族の魂は 文学を通じて今も語り継がれている・・・。
【年年有余 】
今年はコロナで大変な一年でした。来年は心に余裕がもてる年になりますように。
・・・皆さん新年快楽！・・・
